今日まで好きでいて良かった

アイドルを応援するのって、楽しい

井の中の蛙大海を知らず

S君が大舞台に立った。もちろん一人でではなく、所属しているグループが、だけれど。グループ全員がその大舞台へと上がるために何ヶ月も努力していた。ライブのMCでは毎回その話をして、Twitterでは連日宣伝をしていた。だからもちろん、ファンも精一杯応援したし、私もその一人だった。

 

しかし、その大舞台に立った推しを見た時、私は自分達がいかに「井の中の蛙」だったのかを思い知らされた。

 

ワンマンライブじゃなく、色んなジャンルの人が立つ舞台だった。私は普段アイドル以外の音楽を全くと言って良いほど聞かないので、音楽的な批評なんてできない。それでも、レベルが違った。同じ舞台に立って良いレベルに彼らは達していなかったのだ。

 

アイドルに何を求めているのか?これはドルヲタそれぞれあると思うけれど、私は「アイドル力」を求めている。歌やダンスなんてそれなりでいい。現にS君はグループの中でも1,2を争うほどダンスが上手くない。

 

それでも、ライブ中はコール&レスポンスがあって、ヲタ芸を打って、推しからファンサをもらって、毎回チケ代以上に楽しいライブを提供してくれる彼らを、私は心底応援していたしとても満足してドルヲタをしていた。

 

でも、大舞台に立つ推しを見た私の感想は「あれ?こんなクオリティ低かったっけ?」だった。

 

緊張していたのかもしれない。夢だった大舞台に立っているのだから。共演者は有名な人ばかりだったし。でもそんなの言い訳にしか過ぎないよね。

 

彼らは地下アイドルだけど、地下の中ではそこそこ有名だと思う。地下アイドルと対バンをすれば物販は一番行列を作るし出番前は箱がギュウギュウになる。集客力はあると思う。

 

しかし、それは「地下アイドル」という井戸の中に過ぎなかった。

 

世の中にアイドルという職業の人がどれだけいるのか。特別な資格やスキルを必要とせず、年齢を問わずなれる職業。昔は男性アイドルといえばJ一強だったが、近年ではその帝国も崩れつつある。男性地下アイドルも増えてきているのが現状。

だから、彼らも「そこそこ戦えるんじゃないか」なんて思い上がりを持ってしまった。普通に考えれば分かるのにね。”地上”で戦えないから”地下”にいるんだって。

 

その大舞台で他のアーティストのステージを目の当たりにした彼らがどう思ったかは分からない。でも私は確かに自分で自分の推しを過信していたことに気付かされた。「歌もダンスもまだまだこれから」なんて言えるほど、彼らは若くもない。

 

そして更に私に衝撃を与えた出来事…それは、他のファンが「彼らは堂々とステージに立っていた」と言っていたこと。

堂々と?

何をもってしてそう言ったのかは分からないけれど、少なくとも私の目にはそうは映らなかった。

頑張っていたとは思う。どのメンバーもガチガチに緊張しているのが見て分かったし、見ている時は「落ち着いて!頑張って!」と思っていた。

でも、堂々と自分たちらしいパフォーマンスができたのかと言われれば、そんなことないと思う。なのに、ファンからは甘やかすような「私たちにとっては彼らが一番だから」というリアクションに違和感を感じた。

 

他のアーティストのファンからは案の定イマイチな反応だった。「ワンマンライブはきっと楽しいんだろうね」なんて気を遣った反応をしてくれた人もいた。

推してるヲタクですらクオリティ低いと思っているのだから、初めて見た人はさぞ反応に困ったことだろう。まぁ正直に言われても私は気にしないけれど、噛みつく人もいるから賢明な判断だとは思う。

 

でも結局S君のグループを応援するヲタク達は、現実から目を背けて「彼らのパフォーマンスを理解できない人たちがおかしい」というリアクションをする。

これが全てとは思わない。中には私のように何も言わず、匿名ブログで発散している人もいるかもしれない。

でも、今までずっとS君の現場へ一緒に行っていた友達も、同じような発言をしていたことがどうしても引っかかっている。その発言の意味が「クオリティは低いけれど、一生懸命頑張っている推しに感動した」という意味なら良い。でも、もし違う意味ならば、私はもう彼女と一緒にはいられないのではないか。

 

ヲタク友達は簡単にできる反面、簡単に切れる。

推しの切れ目が友の切れ目になりませんように。