今日まで好きでいて良かった

アイドルを応援するのって、楽しい

推しの"優しさ"

S君は優しい、らしい。

 

らしい、と言うのは他の同推しの人がよく言っているのを聞くから。残念ながら、私は多分彼を優しい性格の人とは思っていない。

"良い人"だとは思う。優しくされたこともあるし、「優しいな」と思うこともある。

 

でも多分、私とS君は相性が悪い。

 

一般的に、人間には相性がある。それは当然のこと。しかし、仕事の付き合いだとか、ご近所付き合いだとか、相性が良くないと分かりつつもお互いに交流を持たなければならないことがある。私とS君はそれに近い。「いや、向こうは仕事だろうけどお前は好きで応援してるんじゃん」と思う人もいるかもしれない。実際その通りだと思う。

私とS君は相性が悪い。だけど、私が彼を好きだからひたすら応援しているだけ。

 

相性が悪いことは推し始めた初期から何となく気付いていたが、別に友達になりたい訳でもないし、向こうは仕事な以上私を邪険にする訳ないし、別に気にしていなかった。しかし、決定的なことが起きてしまった。

 

少し前、S君からひどいことを言われた。

 

多分誰が聞いても口を揃えて「ひどい」と言うと思う。実際身内にも「よく他界しなかったね」と言われた。それは、私が自分のドルヲタ人生の中で一番言われたくないことだった。

問題は、それが彼にとって"冗談"であったということ。彼は悪気なく、悪意なく、私の心をズタズタに引き裂いた。本当に冗談だと思っていることは彼の態度を見れば明らかだった。そしてもちろん、彼は笑って言った。「冗談だよ」と。

 

その場では適当に話を切り上げて、そのまま帰った。彼にこの黒い感情をぶつけることだけはしたくなかったから。そして、家に帰って一人大泣きした。いい歳した社会人の女が、こんなに傷つけられることがあるのか、と思った。

 

その時に思ったのだ。私と彼は多分生きている世界が違う。それはもう地球と海王星くらい。そして、私はその距離を埋める術を知らない。

 

誰にも言ってなかったけど、本当は他界しようと思っていた。持っているチケットを譲りに出す準備をしていたし、これからの予定を考え直していた。それくらい、私にとっては衝撃的で大きな出来事だった。

しかし、なんやかんやあって私は他界せず、S君のヲタクを続けている。

 

彼に言われた言葉を忘れた訳ではない。それどころか、多分一生覚えてると思う。でも、私は元々S君の優しい性格を好きになった訳ではない。相性が悪いことなんて何年も前から分かっていたことだし、接触なんてなくてもドルヲタはできる。私の中で『S君に期待するのは止めよう』という考えに落ち着いた。

 

これが良いことなのか、悪いことなのか、分からない。

現場に行けば楽しい。だけど最近、そうじゃない時の気持ちを持て余している。

 

そもそも、これをブログに書こうと思った理由は、最近この出来事をやっぱり忘れていない自分に気付いたから。

もしかしたら、これがターニングポイントになってしまうかもしれない。もちろん悪い意味で。いつか、その日が来てしまったとして、その時に「ターニングポイントはあの日だったな」と思わないで済むようにしたい。でも、私にはどうしようもできない。

 

私はただ楽しく好きな人を応援したいだけなのに。

S君を応援し始めてから、自分の性格の悪さをまざまざと見せつけられている気がする。私は自分の思うヲタクでいたいのに、結局周りの人や推しの反応が気になってしまう。

 

そして私はいつも思ってしまう。『Mちゃんだけを応援していたら、こんな思いはしなくて済んだのかな』と。別にS君にリアコな訳ではない。彼女がいても嫁がいてもどうでもいい。

でも、やっぱり男女という性別の差が、私にとっては大きな溝になっている。現場に行きたい気持ちと行きたくない気持ちがぐるぐるぐるぐる頭をずっと回ってる。これが解決できる日なんてくるのかな。来ない気がするけど、どうなんだろう。

 

自分みたいな弱いヲタクですらこんなこと考えるんだから、同担拒否の人とかリアコの人はもっと大変なんだろうな笑

どれだけ自分の頭の中で考えたとしても、答えなんて出ない。そしてそのモヤモヤを抱えたまま、私はこれからもヲタクを続けるんだと思う。いつか自分の中でスッキリと腑に落ちる答えを見つけられる、その日まで。